自作公開

「ヘリオテロリズム」Vol.2に掲載された「輪唱ラヴソング」第二話を公開します。発見された誤字・脱字等の校正ミスは修正してあります。

ちなみに、第一話はこちら↓

Vol.1の目次に掲載したキャッチコピーは、

「俺」と「私」の偽恋愛小説。

ということで、そういう小説を目指しています。
以下、第一話の冒頭部です。

 そんなわけで思いきって告白したけどあっさりふられた。それはいい。予想してたから。問題なのはその理由。
「今は恋愛とかそういう気分じゃないんだよね」と槇田は言った。
 なんだそれ。十五の女子の言う台詞じゃないだろ。もしかして、気を使ってるのか?
 他に好きな人がいる、なんて正直に言ったら傷つくと思ったのか? でも、そんなこと知ってる。今さら言われたところで傷ついたりしない。それでも、かすかな期待を抱いて告白する決心をしたのは、槇田がいつまでたってもはっきりしないからだった。
「烏龍茶ちょうだい」俺は投げやりな気分で槇田が手にしている缶に手を伸ばした。「いいよ」「間接キス」「げ」「なめてやる」「それ、もういらないから」槇田はあっさり言う。俺は虚しくなってため息をついた。「女にふられたくらいで、あんまり落ち込むなって」「おまえが言うな」「のどかわいた。やっぱり返して」「間接キス?」「三秒ルールって知ってる?」「なにげにかなりひどいこと言ってないか」
 教壇に並んで腰掛け、俺と槇田はくだらないことを喋り続ける。こういうのも悪くない。不満なわけじゃない。
 うそつけ。

ぜひ、ご一読ください。