西尾維新「きみとぼくの壊れた世界」(体験版)の推理(?)

実をいえば、数沢六人を殺したのは誰か、というのはわからない。
しかし、以下の点にかんしては、たぶんこれが真相だと思う。
剣道場で迎槻箱彦にしばかれていたのは、数沢六人ではなく、数沢六人の防具を身につけた琴原りりす。

  • 数沢六人は、「一見すると女の子に見えるかもしれ」ず(P.514)、「身長体格が夜月とそんなに変わらない」(P.516)。
  • 櫃内夜月と琴原りりすは体格が似ている(=数沢六人とも体格が似ている)。「本当の、今現在抱いている感想は、『この感覚、夜月に抱きつかれたときの感じに似ている』だったけれど、そんなことをいうべきでないことくらいは僕にだって分かる。それにそれはただの体格の問題だ」(P.535)。また、「そういう意味では妹さんも琴原さんも、おっぱいは非常に慎ましやかだね」(P.539)→体型から女性であることがばれにくい。
  • 迎槻箱彦の相手は、櫃内様刻(語り手)にはっきりと聞こえる発声はしていない。
  • 一人称による語りなので、事実と異なる記述があっても問題ない。「今の目撃したな? じゃあ、目撃した事実を言ってみろ」「……? えーと、箱彦が数沢くんをしばいていた」(P.530)

迎槻箱彦と琴原りりすは共謀して、櫃内様刻のこれ以上の暴走を事前に防ぐためにひと芝居うったのではないだろうか。
数沢六人殺害事件との関連は不明。
しかし、「読者への挑戦状」をよく読んでみると、「事件の真相を導き出すに十分なだけの材料はここまでで間違いなく揃いました」と書かれているだけで、「数沢六人を殺したのは誰か?」とは一言も書かれていない。もしかしたら、これが「正解」?(「事件」が「数沢六人の殺害」を示しているとは限らない。また、「6人の範囲内」だから共犯であっても問題ない)
もうちょっと細かく読めば、もう少し厳密につめられそうな気がするんだけど、とりあえずこのへんで。
まあ、これがすべての「真相」というわけでもないんだろうし。