舞城王太郎 その1

「群像」5月号に掲載されている陣野俊史舞城王太郎論「文学の『前衛』のために」を読んだ。個人的に音楽の比喩で小説を語る文章にうんざりしているということもあって、「対戦型」というキーワードにはちょっと興味をひかれたけど、何となく納得できるような気もするけど的はずれなような気もして、最後まで読んでも特に新しい発見もなく、まあ、率直にいってそんなにおもしろくなかった。この漠然とした不快感というか、居心地の悪さというか、もやもやした不定形の感情というのは、「ファウスト」に掲載されている東浩紀の連載評論にも感じることで、うまく表現できないのだけど、舞城王太郎の小説に過剰な「批評性」を読み取ろうとする姿勢に対する違和感なのかもしれない。