高橋源一郎『読むそばから忘れていっても』

漫画にかんする文章を中心にまとめたエッセイ集。すでに他の本に収録されている文章がいくつも再録されているので、コストパフォーマンスは悪い。
目玉は何といって、単行本未収録の小説「無名の☆たちがたどる、冒険、愛、日常等に関する報告書」(☆の部分はマリオみたいなドット絵のキャラクタ)。『優雅で感傷的な日本野球』の連載時に書かれながら、単行本化の際に削られた一編が掲載されているのだ。と、期待して読んだんだけど、半分くらいは単行本に収録されている部分に流用されており、ちょっと期待はずれだった(「早駆けのニワトリ」と「腹ペコのオオカミ」のエピソードはほぼそのまま)。