舞城王太郎「ディスコ探偵水曜日」第一部(「新潮」5月号掲載)

うんうん。これはおもしろい。留保つきではなくて。
九十九十九』「好き好き大好き超愛してる。」のような複数の可能性としての「物語」をそのまま複数の「物語」として「メタ」な手法で書いた作品から、「みんな元気。」のような無理矢理ではあるけれど「メタ」を回避してひとつの「物語」に収斂させた作品をぐるっと経由して、デビュー作である『煙か土か食い物』あたりまで回帰した作品という印象。もちろん、それは「後退」という意味ではない。
この作品を個人的に好きな理由として、

  • あからさまに「メタ」な手法を用いていない。
  • 「超常的」(と思える)要素が比較的、限定して用いられている。

という2点があげられると思う。
続きが楽しみでもあり、不安でもある。