ディーン・R・クーンツ『ライトニング』(野村芳夫訳)

ライトニング (文春文庫)

ライトニング (文春文庫)

新刊『サイレント・アイズ』を購入して、新作を読む前に久々に旧作である本書を読み直したんですが、やっぱりクーンツはおもしろかった! 1988年に発表された(邦訳は1989年)SFサスペンスで、私が高校生のときに初めて読んでクーンツ作品にはまるきっかけになった作品です。

……主人公・ローラを翻弄する運命。閃光とともに姿を現し彼女の危機を救う「守護天使」の正体は?

ジェット・コースター:
(1)重力利用の小軌道……スリルを求める搭乗者に対して、急傾斜からの急速かつ刺激的な突入を提供する。
――ランダム・ハウス辞典

作品の冒頭には、上記の文章が引用されている。その作者の自信からもうかがえるように、この小説はすぐれたジェットコースターノベルとなっている。スリルを求める「読者」に対して、急傾斜からの急速かつ刺激的な「物語」を提供する。視点人物と場面の切り替えによってサスペンスを演出するテクニックはまさに職人技。何をどういう順序で語り、何を語らないかによって、どういう効果が生じているのか、という点に注目して読むのも一興です。

余計なお世話ながらこの作品を読むにあたっての注意点を2つ。

  • クーンツ作品の「パターン」を知らないうちに読んだほうがより楽しめると思います。
  • 作中の情報提示の妙味を味わうためにも、無粋な登場人物一覧には目を通さないのが吉。

えーと、これは書いても大丈夫かな? この作品が具体的にどういうジャンルかというと、
タイムトラベルものです。