感想文のフェアネスとは?

もともと私はそんなにあらすじを書くことに注力するほうではないのですが、それでもいざ書くとなると迷うことも多いので、たいへん興味深く読みました。
ひとつ、問題の少ないところで最近の具体例をあげてみると、ひぐちアサおおきく振りかぶって』のあらすじ(id:helioterrorism:20040324#p1)がそうでした。まあ、この場合は「ミステリ」ではないし、該当箇所がサプライズとして機能しているわけでもないので、「フェア」か否かにこだわる必要もないように思えたのですが、少なくとも1巻で語られている範囲では「事実」か否か判断不能な部分があるので、そこは「事実」であるように書くことは避けたのでした。
とはいえ、松本楽志さんの日記にもあるように、「フェア」であることにこだわりすぎて記述が不自然になり、作品の肝心のポイントがあらすじを読んだ人に察知されてしまっては本末転倒なので、個人的には「フェアであることが望ましいが、作品によってはあえて〈嘘〉を書く」というのも「あり」だと思います。実際、私が過去に書いたあらすじにも、「フェア」に書くことにこだわった結果、かなり不自然な表現になっているものもあるし……。
叙述トリックを用いた作品の場合、むしろ積極的に〈嘘〉を書くことによって、作品の外部からトリックを援護をすることができるのではないか、などと考えたこともあるのですが、実際にやったことはありません。そもそも、そんな素人感想の援護に効果があるのかどうか疑問だし。