大場つぐみ・原作/小畑健・漫画『DEATH NOTE』1巻 ISBN:4088736214

死神・リュークが人間界に落とした「DEATH NOTE」。それは、名前を記された人間を直接手をくだすことなく殺す力を持つノートだった。偶然、そのノートを手にした高校生・夜神月(やがみ・ライト)は、世界中の犯罪者を次々と抹殺する。一方で、「謎の殺人者」の正体を求めて世界中の警察組織が動き出す。その中心となるのは、「L」(エル)と呼ばれる人物だった。
DEATH NOTE」の効果をはじめとして、この物語にはさまざまな「ルール」が存在している。その「ルール」の内側で、いかに状況に対処するか、という一種パズル的ともいえる「月」と「L」の頭脳戦がこの物語の主軸となる。
小畑健の絵のうまさもあって、なかなか魅力的な作品ではあるんだけど、パズル的な要素(とそれにかんする説明)が前面に出すぎるきらいがあって、ストーリーのおもしろさという意味ではちょっと物足りない。具体的な不満点としては、現時点での主人公である「月」の造形が、「目的のためには手段を選ばない」というタイプではなくて、「手段が目的と化している」ようにしか見えないこと(正確には、前者を表現しようとしているのに、後者にしか見えない)。現状では「月」と「L」、どちらにも感情移入できないつくりになっているので、個別の局面での「ルール運用」のおもしろさはあっても、その対決の行方に関しては、まあ、別にどっちが勝ってもいいんじゃない? という気になってしまう。