高橋源一郎『ジョン・レノン対火星人』

helioterrorism2004-04-09

講談社文芸文庫版を購入。そして、また読んでしまった。
すばらしい日本の戦争』というタイトルで『さようなら、ギャングたち』に先立って書かれた「幻のデビュー作」。角川書店の「野生時代」掲載され、単行本の刊行も同社から。その後、新潮文庫に収録されたが絶版。今回、講談社文芸文庫から復刊の運びとなった。
新潮文庫版からの変更点は、気づいた範囲では「6章 愛のレッスン」のレッスン35、38〜39。言葉を置き換える(それにあわせて、語尾の表現も若干変更されている)ことによって、読んだときのリズムも変わってしまっている。ここはすごく好きなシーンだったので、たいへん残念。
新潮文庫版をレッスン39のみ引用する。

レッスン39
「タバコが欲しいな。ずっと喫んでないんだ。きちがいがタバコを喫むかどうかわからなくてね」
「喫みますよ」とわたしは言った。
「きちがいだってタバコは喫むんです」(P.183)