高橋源一郎『ジョン・レノン対火星人』

講談社文芸文庫版の巻末に付された「著者から読者へ」より引用。

 それは、奇妙なものでなければならなかった。考えうる限りバカバカしいものでなければならなかった。最低のもの、唾棄されるようなもの、いい加減なものでなければならなかった。この世の人すべてから、顰蹙をかうような作品でなければならなかった。グロテスクでナンセンスで子供じみていなければならなかった。お上品な文学者全員から嘲られるような作品でなければならなかった。
(中略)
 ところが、「群像新人文学賞」に応募した『戦争』は、最終選考まで残ったが、結局、落選してしまった。選考委員から、ほんとに「顰蹙をかって」しまったのだ。