矢野龍王『極限推理コロシアム』

極限推理コロシアム (講談社ノベルス)
読了。
正体不明の「主催者」によって、年齢も性別も社会的地位もばらばらの14人が強制的に集められ、「夏の館」「冬の館」と名づけられた2つの館に7人ずつ閉じ込められる。その2つの館を舞台に、14人を「プレイヤー」とする「推理ゲーム」が行われる。問題は「連続殺人」。被害者は「プレイヤー」。そして、犯人役も「プレイヤー」のなかにいる……。
クローズド・サークルものに弱いので、思わず手を出してしまったけど、すでにテレビドラマ化が決定しているという点や、本に挟み込まれているチラシの文面(「次はこの講談社ノベルス作品がおススメ!」というキャッチコピーで、綾辻行人十角館の殺人』と森博嗣すべてがFになる』が紹介されている)から推察するに、著者の意図はともかく、出版社側の狙いとしては、「新本格」とか「メフィスト賞」をもともと好んで読んでいる人に向けた作品ではないのだろうな。
設定の細部とかトリックとかサスペンスの演出とかキャラクタ造形とか、ちょっと弱点が多すぎるんじゃないかと思えるんですが、なかでも文章のゆるさは冒頭部を読んで予想したとおり、というかそれ以上で、「ネバーギブアップの心意気」とかまじめにいわれてもなぁ。

ドラマの公式サイトで予告編ムービーが公開されています。例のアルマジロがばっちり映っています。ということは、あの「謎解き」をそのままやるのか……。