米澤穂信『氷菓』ISBN:4044271011

なぜかもう新刊書店には出回っていないものだと思い込んでいて、実際、都内の大型書店を何件か探したところ、『愚者のエンドロール』も含めて見当たらなかったので、古本で探すしかないかなぁと思っていたのだけど、地元の書泉に置いてあったので大喜びで買ってきた。
学園もので、日常の謎を配した連作短編風の長編。「ミステリ」であり、「青春小説」でもある。角川スニーカー文庫から発売されているものの、ライトノベルというよりは、ジュブナイルといったほうがふさわしい印象。
なるほど、『さよなら妖精』がもともとはこのシリーズの続編として準備されていたというのも納得できるくらい雰囲気というか作品の構成や登場人物の配置がよく似ている。おそらくは「」の存在が第三作への伏線だったのだろうなぁと思うと〈古典部シリーズ〉としての『さよなら妖精』も読んでみたかった気がする。
さすがに最新作と比較すると会話や表現にぎこちなさは感じるが、やはり好みの文章で、たいへんおもしろかった。