米澤穂信『愚者のエンドロール』

愚者のエンドロール (角川文庫)
文化祭に出展する自主制作の「ミステリ映画」は、真相不明のまま中断していた。前作『氷菓』の古典部のメンバーが、未完成の「ビデオ」とスタッフの証言をもとに結末探しに挑む。
作者も「あとがき」で書いているように、バークリーの『毒入りチョコレート事件』を意識した推理合戦の趣向が盛り込まれており(本筋とはあまり関係のない部分でウイスキーボンボンが出てきたりもする)、『氷菓』や『さよなら妖精』と比較すると形式としての「ミステリ性」がより前面に出た作品となっていて、良くも悪くも一部の「新本格ミステリ」にありがちなマニアックな雰囲気が色濃くなっている。が、これはこれでたいへんおもしろい。