小川彌生『きみはペット』1〜9巻

きみはペット(1) (KC KISS)きみはペット(2) (KC KISS)きみはペット(3) (KC KISS)きみはペット(4) (KC KISS)きみはペット(5) (KC KISS)きみはペット(6) (KC KISS)きみはペット(7) (KC KISS)きみはペット(8) (KC KISS)きみはペット(9) (KC KISS)
高学歴・高収入・身長170cmのエリート新聞記者・スミレは、婚約者にふられ、上司を殴って左遷されてしまう。そんなある日、スミレは道ばたの段ボールで寝ていた美少年を助ける。冗談で「ペットとしてなら家においてあげる」と言うと、美少年はあっさりそれを受け入れる。ペットと飼い主、という形(セックスはなし)の2人の奇妙な共同生活がはじまる。その一方で、スミレは大学時代のあこがれの先輩・蓮實と職場で再会し、つきあいはじめる。もちろん、「ペット」のことは秘密にして。
ドラマ化されたのは知っていて、断片的な情報から願望充足型の女性向けファンタジーなのかと思っていたんですが、もちろんそういう側面はあるものの、男である私が読んでもたいへんおもしろい(ちょっと変則的な)恋愛マンガでした。
特に小ネタのギャグがツボ。
最新刊では、香港に赴任した恋人の蓮實側にも「ペット」志願者があらわれて、登場人物の関係が対称的な構図になり、いよいよ佳境という感じで、続きが気になります。
とはいえ、「対称的」とはいっても、正確にはスミレとモモ(美少年のペットネーム)の関係はセックスがなくても成立しているのに対し、蓮實と「ペット」志願者の関係は、それが誤解の可能性が残されているとはいえ、はじめにセックスありきになっていて、その非対称性を読者である私が「物語的に自然」だと感じていることに気づき、いろいろと考えさせられます。