津原泰水『悪い男』(原案・脚本キム・ギドク)

悪い男

悪い男

津原泰水による映画『悪い男』(キム・ギドク監督)のノベライズ。映画は未見。
うーん。あっさりうす口でものたりない。映画のノベライズだから仕方がないのかもしれないけど、鏡とか写真とか映像的な小道具が多用されていて、それをうまく小説として処理できていないように感じた(映像を見ればそれで済んでしまうように思える)。あと、津原泰水がとてもうまい作家であることは確かなんだけど、通俗的な「感情」を表現するのはあまり得意ではないのかな、と思った。
主人公の一人であるハンギの設定が、物語の予備知識なしに読むと、ちょっとしたサプライズとして機能するところはノベライズの際の工夫のひとつなのかもしれない。
読了後、検索して映画の感想をいくつか読んだところ、エピローグの解釈に疑問点が出てきた。映画だとどういう表現がされているか気になるので、レンタルして見てみようか。